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2022.03.31更新

オミクロン株が日本に上陸した1月からもう3カ月が経過しました。

この間、当院では抗原検査226例、PCR検査314例に施行しました。

PCR検査は必ずしも診断目的だけでなく、企業からの依頼による陰性確認も多く含まれたため、陽性者の割合は多くありませんでした。それでも、抗原検査では122例、PCRでは52例が陽性でした。診断目的の主力として考える抗原検査で陽性率は54%でまずまずと思っております。PCR検査での陽性者も、クリニックの抗原検査キットが不足した際に、やむを得ずPCR検査を行った例でのことであり、抗原検査でも十分に診断の手段になりえたと考えられました。

ところで、このオミクロン株はもう皆さんもご存じかと思いますが、咽頭を含む上気道周辺での症状が中心で重症化はしにくいが感染力は強い、まさにその通りだと思います。厄介ごとと言えば、基礎疾患を持つ方や高齢者には牙をむくかもしれないリスクがあり、まだ社会的にもいろいろな制限のかかる感染症であるということです。そして最近は、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を済まされている方も増えておりますが、接種後感染で来院される方も残念ながら少なくありません。特徴は、軽症で発熱すらしない方もいるということです。これでは、どのように感染者を診断するかとても難しくなります。したがって、診断にたどり着かず、ただの咽頭炎として投薬を受ける、または診療所にすら行かない人も少なくないはずです。まん延防止等重点措置も解除となり、こうした無症候性または軽症者が街へと繰り出すわけですから、感染者数はなかなか減らないわけです。

つまり、3回接種でもオミクロン感染は食い止められないのは間違いないと思います。では無意味かというと、重症化は防いでいるので意味はあるのでしょう。いずれにしても、3回接種したからと言って油断せず過ごすことが大事かと思います。

そして、もう一つ、最近の発熱に潜む原因が、オミクロン株だけではなく、細菌感染です。抗原検査で陰性でも採血をすると細菌感染の疑いのある白血球数が異常高値を示す患者さんが多いのです。新型コロナでなくて良かったと胸をなでおろす方もいますが、細菌感染の方が意外にしぶとく再燃を繰り返したり、未治療で発熱が長く続くケースもあり侮れません。ですので、高い熱でコロナ陰性でも、採血をしてみることも勧めます。扁桃腺が腫れあがり、白苔を認めるようなケースばかりでなく、はっきりした感染源が分かりにくい細菌性感染もあるということです。

ただでさえ、花粉症で首から上がつらい季節。敵は少なくありません。もうしばらく辛抱の季節が続きそうです。

投稿者: 六本木HATクリニック 院長 福田智信