STAFF BLOG

2021.11.05更新

新型コロナウイルスの感染者が激減したことは、ワクチン接種包囲網の効果といっても過言ではありません。

しかしながら、海外では再び感染者数の増加ということも報告されており、その影響の一つがワクチン接種後の経時的な抗体価の減少にあると思われます。当院でも、定期的に抗体価をチェックしている方々の結果の中で、接種後数週間と数カ月後とで比較した際に、明らかな低下を認めています。そのことからも、新型コロナウイルスワクチンのブースター接種の必要性が言われていることはうなずけることと思います。

そこで、この抗体価の低下に歯止めをかけ、できればブーストさせる方法はないものか、3回目接種までのつなぎとなる方法はないものかと考えました。そこで着目したのが、インフルエンザワクチン接種です。昨年、新型コロナウイルス感染後に抗体価定期的に測定していた方がインフルエンザ予防接種を受けた約4週間後に抗体価を測定したところ、その数値がおおよそ2倍に増えた方がいたことを紹介しました。

http://www.roppongi-hat.com/blog/2020/11/post-25-757048.html

この経験から、ならば新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体価も、同じようにインフルエンザ予防接種によって免疫系が刺激を受けて増加するのではないかと考えました。

今年は、インフルエンザ予防接種のワクチンの入荷が遅く、数に限りがあるということもあり、このような取り組みも大々的にできるものではなく、まずは職員の協力を得て始めてみようということで、先に行った2人の結果をご報告したいと思います。

 1人目は50代男性、2人目は20代女性です。2人ともファイザー製のワクチン接種2回目を7月に終了しました。抗体価の検査は、外部委託でロシュ・ダイアグノスティックス社(ロシュ社)の検査(0.80 U/ml未満:陰性)を用いました。インフルエンザ予防接種前の抗体価の値は、それぞれ1050と314ということでその数値には個人差がありました。さらに、男性の結果は、新型コロナウイルスワクチン接種数週間後の抗体価は3850であったものが、数か月後には1050にまで低下しました。これ自体も衝撃でしたが、もちろん個人差はあります。

さて、11月に入り、インフルエンザ予防接種後4週間が経って、先日抗体検査を行いました。その結果、1人目は1050から1010、2人目は314から359ということでした。いぜれも残念ながら、ブーストする結果には至りませんでした。2人の結果では当然医学的な証明などできませんので、もし同じような検証を行う医療機関があればその論文発表を待ちたいところです。

今回のトライアルは、その後もご興味を持った方が、検査に臨んでおり、その結果は積み重なりますが、特別な研究費があるわけではないので、あくまでも興味をお持ちの方々とその結果の傾向を注視していきたいと思いました。

今後、これらの職員の抗体価は数カ月単位でフォローしたいと考えております。ブーストしないまでも、抗体価の維持につながらないかをみていきたと思います。

投稿者: 六本木HATクリニック 院長 福田智信