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2020.11.08更新

11月に入り、インフルエンザ予防接種の接種者数も増えてますが、今年のインフルエンザは果たして流行るのか?

そして、新型コロナウイルス感染とインフルエンザ感染をどのように診分けていくのか?

これまでのインフルエンザ感染の今年の各国の状況は、流行るはずの時期に流行っていないのが現状のようです。

国をまたいだ人の行き来が極端に少なくなってることと、新型コロナウイルスの流行でみんなが予防を行っていることで、インフルエンザも間接的に抑え込まれていることなどが要因と考えられます。

とはいえ、乾燥して気温が下がれば、ウイルスがアクティブとなりやすい環境となるため、油断はできませんね。

特に、今年の冬は寒い予想が出ており、寒さで免疫力が下がれば、インフルエンザにも、新型コロナにもかかりやすくなります。

当院でも、どのように発熱患者さんを診ていくのか、一般の患者さんと分けて診れるように工夫しながら、診療を行っています。

インフルエンザと新型コロナウイルスの抗原検査を同時にすることで、見分けを付けることも行っています。

しかしながら、発熱のタイミングと診察のタイミングにあまり時間的な差がない場合(発熱して間もない)は、十分な結果を得られないこともあるため、その判断は都度行っていかねばなりません。

そうした課題がある中で、インフルエンザ予防接種と新型コロナウイルス感染予防の関連はどうかという点を考えたいと思います。

10月中旬に、宮坂先生の講演に参加しましたが、その際、「自然免疫と感染予防」というトピックがあり、いかに自分の持ち合わせた免疫力が予防に重要な役割を果たすかを再認識しました。

その際、宮坂先生に質問したことが、インフルエンザ予防接種と新型コロナウイルスの予防効果という点ですが、自然免疫の観点からは、十分予防効果があると考えられるということでした。

そして、先週それを裏付ける出来事がありました。

当院にかかりつけの患者さん、この方は、7月中旬に新型コロナウイルスに感染してしまい、回復後、約1か月ごとに新型コロナウイルスの抗体検査(ロシュ社)を行っていたのです。

始め9月の検査では90台の抗体価であったのが、10月には70台に下がりました。やはり、抗体価が下がるということで、このまま続くと、また再感染の可能性があるかもしれないことを、その患者さんには伝えていました。そして、その1か月後、今月に再度抗体価をチェックすると、140台に跳ね上がっていたのです。てっきり、再感染をしたのかの思い、そのことをこの方に尋ねると、「そんな事はないと思います」とのこと。(疑ってすみませんと反省ehe

そしてその方が、「インフルエンザ予防接種との関連はありますかね~」というのです。

カルテで再確認すると、ちょうど4週間前にインフルエンザの予防接種を行っていたのです。

「これだ~!」謎が解けました。

再感染ではなく、予防接種により、免疫力が刺激を受けて、抗体価を押し上げたのだと思います。

いつも患者さんには、「インフルエンザ予防接種を受けた後、4週間後には6割ぐらいの方に抗体ができます。」と説明をしていることが、まさに証明されたのだと思いました。

インフルエンザと新型コロナということでウイルスは違えど、自然免疫を賦活することには十分に役立っているということが考えられます。

まだ、副作用のわからない新型コロナウイルスのワクチンを待つより、インフルエンザ予防接種を受けることで、備えをすることの方がより現実的だと感じた経験でしたのでご報告します。

投稿者: 六本木HATクリニック 院長 福田智信